🧰 事件発生 — 道具は増えたのに、机は散らかったまま
道具箱は充実していく。なのに、曲を1本つくるたびに、あちこちを往復していた。
ところが、1曲つくるたびに机の上を往復していた。ジャンルの引き出しは頭の中とメモ帳。(音の数)の決まりは別のメモ。“あの歌手みたいな感じ”の出し方は、その都度うろ覚え。投入した曲の記録は、スプレッドシート。道具はあるのに、知識と工程がバラバラだった。
ぼくあれ、この曲のBPMいくつにしたっけ……。“90年代っぽい”のスタイル指定、前にどう書いたっけ……メモどこ?
クロード道具が点在してるんだ。入口の工房、出口のDL、頭の中の経験則、別ファイルの台帳。それぞれは動くのに、あいだで毎回まいごになってる。点を、線にしよう。
💸 強敵あらわる — 「作ってから気づく」でクレジットが溶ける
散らかりより、もっと痛い出費があった。それは“やり直しの生成”。
いちばん財布に痛かったのは「作ってから気づく」だった。生成して、聴いて、はじめて分かる。1番と2番のサビでモーラ数がズレて、同じメロディに歌詞が乗らない。多義漢字の読みが割れる。助詞の「は」「へ」が、発音で「わ」「え」に転ぶ。そのたびに歌詞を直して、また生成。Sunoの生成は有限のクレジットを食う。
ぼくうわ、2番のサビ、字余りで走ってる……。もう1回生成だ。あれ、クレジットこんなに減ってる!?
クロード投げる前に、歌詞を検品しよう。生成は有料、チェックは無料だ。行ごとのモーラ数を数えて、1番と2番のサビが同じ長さかを見て、あやしい発音に印を付ける。“関所”を1つ置くだけで、やり直しの生成がぐっと減る。
🛃 「検品」=投入する前の、無料の関所
作曲AIにとって歌詞は「メロディに音を割り当てる設計図」。設計図の時点で音の数が乱れていれば、どんなに生成し直しても歌はハマらない。だから投げる前に、目視でなく道具で検品する。行ごとの数、1番・2番サビの一致、発音のあやしい箇所——ここを無料で先に潰す。有料の生成は、通ってから。
🎭 工夫 — 名前を借りずに、“あの感じ”を出す
「◯◯みたいな曲」。いちばん簡単で、いちばん筋の悪い指定を、どう置き換えるか。
“80年代シティポップの巨匠みたいな感じ”を出したい。いちばん手っ取り早いのは、実在アーティストの名前をプロンプトに書くこと。でもそれは、規約的にも品位的にも筋が悪い。そこで考えたのが「実名は出さず、雰囲気を作っている“特徴”だけを束ねたパレット」だった。
ぼく名前を書けば一発なんだけど……それはやりたくない。
クロード名前を借りるんじゃなくて、要素を積み上げるんだ。「海沿いの都会感」「タイトなセッションバンド」「スラップベース」「温かいアナログ録音」——“あの感じ”の正体は、こういう特徴の合計。名前なしでも、そこへ寄せていける。
ぼくじゃあ、その特徴セットを「パレット」として並べておけば、毎回選ぶだけだ。
🚫 生成プロンプトにも「名前は入れない」を焼き込む
パレットを選んでプロンプトを作ると、の先頭に実名禁止の一文が自動で入る。人間が気をつけるのではなく、道具が毎回そう出力する。下は実際に生成された指示文の冒頭。
オリジナル日本語楽曲の作詞と、Suno AI用プロンプト一式の作成をお願いします。 実在アーティスト・実在曲の模倣や、名前をプロンプトに入れることは禁止です。 【曲の設計】 - テーマ・情景: 終電を見送って、それでも笑えた夜のこと - タイトル: 夜明けの環状線 - ジャンル: シティポップ + 90年代J-POP - 風合いパレット「80sシティポップの巨匠風」: sunny coastal city …
🎛 完成 — 設計・検品・投入・台帳を、ひとつのデッキに
散らばっていた道具と知識を、5つのタブに束ねた。真ん中を歩けば、曲が1本仕上がる。
できあがったのは、1枚のHTMLにまとまった「曲づくり総合デッキ」。上に並ぶ5つのタブを左から右へ歩くだけで、設計→検品→投入→記録が流れていく。第4巻・第5巻の道具は、消えたのではなくこの一室に“部屋”として入居した。
ジャンル58種・「名曲の型」・実名なしパレット・BPMの目安から、Claude用(1曲)とChatGPT用(10曲バッチ)のプロンプトを生成。散らばっていた経験則が、選ぶだけの形になった。
モーラ数・サビ一致・発音リスクを、投げる前に無料でチェック。この関所が、やり直しの生成を減らす。
第5巻のカード分解をそのまま継承。AIの出力を貼れば、Sunoの欄に対応した10枚のカードに自動で仕分け。
投入した曲を記録し、ジャンル・型の“偏り”を棒グラフで可視化。スプレッドシートが、デッキの中に入った。
第4巻の一括ダウンローダーへの導線。できた曲を、まとめて連れて帰る出口。
道具はもう、点じゃない。
左から右へ、ひとつの線になった。
📊 隠し機能 — 「同じ曲ばかり作る自分」に、気づかせる
台帳は、記録するだけじゃもったいない。数えて、見せると、手が変わる。
台帳に「つくりの偏り」を付けた。ジャンル別・型別の棒グラフだ。人は放っておくと、得意な型ばかり選ぶ。バラードが好きなら、気づけばバラードだらけ。数で見えると、「今回は違う型で」と自然に手が動く。道具が、自分のに気づかせてくれる。
🖱 5つのタブを、実画面で
できあがったデッキを、本物の画面で。設計 → 検品 → 投入 → 台帳 の流れを、実際のスクショで追います。
01 曲設計 — 選ぶだけで、プロンプトができる
上のタブが01〜05のワークフロー。まず「曲設計」で、ジャンル(最大2つ)・ボーカル形態・「名曲の型」を選び、テーマやBPMを入れます。右上の言語切替(日/英/繁中)とテーマ切替(ダーク/ライト)も、ここに常駐。おまかせガチャで“外の型”を引くこともできます。
プロンプトを生成 — 実名は入れない、が焼き込み済み
設計がそろったら、Claude用(1曲)か ChatGPT用(10曲バッチ)のプロンプトを生成。冒頭に「実在アーティスト名を入れない」ルールが自動で入り、パレットは特徴の言葉に展開されます。
03 投入 — 貼るだけで、10枚のカード(第5巻の工房)
ChatGPTの出力を「投入」タブに貼って解析すると、1曲=1カードに分解。Sunoの入力欄と同じ並び(①歌詞〜⑥タイトル)で、欄ごとにコピーでき、WEIRDNESS/STYLE INFLUENCE はスライダーで微調整。第5巻の工房が、そのまま一室に入っています。
04 台帳 — 記録が、そのまま“偏り”になる
カードの「台帳へ記録」で、投入した曲が表に積み上がります。状態(投入済み/回収済み/未回収)を追え、下の「つくりの偏り」でジャンル・型の寄りが見える。JSONで丸ごと書き出し・読み込みもできます。
——設計から記録まで、ひとつの画面で完結。机の上の往復は、もう要りません。
🔬 おまけ — 「1枚のHTML」で、外に何も送らない
機能はてんこ盛りでも、体は軽い。今回も“身軽さ”は最優先だった。
これだけ機能を積んでも、正体はHTMLファイル1枚。ダブルクリックで開くだけで、5タブすべてが動く。
台帳もカードもというブラウザ内の引き出しに保存。閉じても消えず、外には一切送られない。
UIは日本語/English/繁體中文に対応。作詞ルールも言語で切り替わる(日=モーラ、英=音節、中=字数)。見た目はダーク(深夜スタジオ)/ライトの2トーン。
🧠 いちばんの隠し味は「経験則の焼き込み」
ジャンルごとのBPMの目安、「名曲の型」の構成、実名を出さないパレット、投入前の検品ルール——Sunoを使い込んで得たコツが、最初からデッキに埋め込んである。コツをメモに書いても忘れる。道具に焼き込めば、忘れようがない。散らかりの正体は、知識が“頭とメモ”に散っていたこと。それを道具の中に集めたら、机が片づいた。
❓ よくある質問
Q1. 「Suno Song Studio」は何をするツール?
Sunoで日本語の歌をつくる工程を1枚のHTMLに束ねた総合デッキです。01曲設計(プロンプト生成)/02歌詞検品(モーラ・サビ一致・発音リスク)/03投入(10枚カードに自動分解)/04台帳(記録+偏りの可視化)/05回収(一括DLへの導線)の5タブで、設計から記録までを一つの画面で回せます。
Q2. なぜ「歌詞の検品」を付けたの?
作ってから気づく失敗を減らすためです。1番と2番のサビでモーラ数がズレると歌がハマらず、多義漢字は読みが割れ、助詞の「は」「へ」は発音でつまずきます。生成は有料、チェックは無料。投げる前に関所を置くと、やり直しの生成が減ります。
Q3. パレットは実在の歌手名を使う?
使いません。実名は入れず、「海沿いの都会感」「スラップベース」のように雰囲気を作っている特徴だけを束ねて寄せます。生成プロンプトにも実名禁止の一文が自動で入ります。名前を借りるのではなく、要素を積み上げる設計です。デッキ本体は当サイトのお試し版でそのまま使えます(アプリ本体の配布はありません)。仕組みはシンプルなので、生成AIに相談しながら同様の道具を自作するのもおすすめです。
🌙 教訓 — 道具を増やす前に、部屋を用意する
点をいくつ持っていても、線につながっていなければ、毎回まいごになる。
📌 この一件で学んだこと
- 道具は増えるほど、あいだで散らかる。点を増やす前に、点をつなぐ「部屋(ワークフロー)」を用意する。
- 高い工程の前に、安い関所を置く。生成は有料、検品は無料。失敗は“作る前”に見つける。
- 名前を借りず、要素で寄せる。「◯◯みたいな」は、その◯◯を作っている特徴の合計に分解できる。
- 知識はメモでなく、道具に焼き込む。偏りの可視化まで含めて、道具が自分の背中を押してくれる。
これで、作曲まわりの道具は一室にそろった。第5巻の「工房」は入口(投入)に、第4巻の「ダウンローダー」は出口(回収)に。 あいだをつなぐ設計・検品・台帳が加わって、曲づくりの流れ(ワークフロー)ごと、ひとつのスタジオになった。
▶ そもそもSunoでどう曲を作る?はAI×音楽へ。できあがった曲たちはAIジュークボックスで試聴できます。AIと二人三脚の道具づくりを始めたい人はClaude Codeのすすめから。